もう一つの世界・六夜

⇒ガGラ

2007年11月03日 00:00

やはり何故か分からないのだが、今度は寒河江のアラキが
「泊まりに来い」
としきりに言うので、またもや土曜日、学校からそのまま左沢線(通称ザワ線)に乗って、寒河江へと行った

初寒河江だったので、夜中までいろいろ(ここには書けない)案内してもらい、寒河江の夜を満喫したのでした

(そう言えば、ひさちゃんも寒河江だって言ってたっけなぁなんて考えながら)

充実したサタディナイトを送り、さて寝ようかと横になった途端

「わり〜ガジラ。今から山形に行く」
とアラキが言い出した

「ちょ、ちょっと、俺はどうなるのよ」

「一緒に来てくれ」

「わ、分かった」

そう言うとアラキは二階の自分の部屋から出てゆき、自分と私の靴を持って戻って来た

「?」

「じゃ行くぞ!」とアラキは部屋の窓を開け

屋根から電柱に移り、スルスルと降りて行った

「オイオイ」

なんでまたそんなところから…

「早く来い!」

もう何がなんだか解らないまま、アラキの真似をしながら兎に角下に降りた

今度はそこから走って、公衆電話に駆け込みタクシーを呼んだ

タクシーに乗り込み
「山形まで」と告げるアラキ

さすがにタクシーの運転手も、真夜中の不審な男二名
(内一人学生服)が気になるのだろう
しきりにルームミラーで我々を見ていた

ガ「で、どこさ行くのやぁ」
と聞くと
アラキは「取り合えず、お前はカズノリの家へ行ってくれ」
と言った

カズノリの家へといっても、もう2時半だぜ…


…タクシーは山形の深町
カズノリの家の前に止まった

そして「じゃ俺は、後で来るから」
と言い残し、アラキはそのままタクシーで行ってしまった

一人残された私

取り合えずカズノリの家に入ろうとしたら、門に鍵がかかっていた

「お〜い…泣」

仕方がないので塀をよじ登り敷地内へ入った

そして一階にあるカズノリの部屋の窓を叩いた

部屋の灯りが点き、窓が開いた

「な、なえだべぇ〜」

とカズノリが窓から顔を出した

後ろには二人の小学生の弟達が、少しビビりながら覗き込んでいた

「と、取り合えず寝かせてくれ〜」

私はそのまま朝まで爆睡

後から来ると言ってたアラキは来なかった


朝…

カズノリに昨夜の一件を話すと、突然笑いだし

「アラキは彼女のところへ。そしてお前は俺のところへ」
と言うと、また笑いだした

「?」

「先ずはメシでも食え」
と言われ、茶の間に行くと、カズノリのおふくろさんが私を見るなり

「ガジラだっけのがぁ〜」

「?」

「夜中に家の前に車止まったなって思って、時計見たら3時だっけ、3時!」

「あああ。それが私です。間違いないです。あはっ」

朝食を頂き、私はカズノリの家を出た

今までで、一番長い土曜日を過ごし
日曜日だというのに、学ランに学生鞄を持ち、トボトボと駅に向かう一人の男子高校生が、そこにいた



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